クラシコ・イタリア
2025.08.08
高い感性と職人芸を備えた
メイド・イン・イタリーが
SHIPSのドレスの主役に
remember
me?
column.
06
SHIPSが新しいコンセプトの大型店として、渋谷の宮下公園近くの場所にMUSEUM for SHIPS 渋谷店を開いたのは1986年のことでした。ギ ローバーやドルモアなど輸入品を扱うエル.アイ.エスの代表である坂戸典之さんは当時、スタッフとして渋谷店で働いていました。
「僕が入ったころは、まだまだフランス生まれのブランドや、イタリアでもデザイナーブランドの製品がこの店の中心でした。やがてイタリア製品でもインコテックスのトラウザーズやマロのニットのように専業ブランドが入ってきて、程なくしてSHIPSレーベルでも別注で製作をお願いしたメイド・イン・イタリーのドレスアイテムが入ってくるようになったと記憶しています」
坂戸さんによれば、当時トータル展開のイタリアブランドはブランドごとにコレクションを成立させるように店頭に並べていました。しかし後発で仕入れたファクトリー系の専業ブランドは「そのブランドが欲しいというよりは、アイテムを揃える過程で、たまたま依頼した会社がイタリアという感じに変わっていきました」とイタリアブランドに対するSHIPSでの取り組みの変化を坂戸さんは振り返ります。
94年に創刊した『メンズエクストラ(現・MEN’S EX)』で、日本ではじめて“クラシコ・イタリア”という言葉が登場し、ほかのファッション雑誌もこぞって伝統的なイタリアブランドを取り上げるようになりました。99年にはエスクァイア日本版の別冊『クラシコ イタリア読本』が発行され、お客様の興味もイタリアへと向かいました。
「メイド・イン・イタリーのスーツやジャケットは仕立てなどがとても立体的で、肩や胸の可動域が広く、ソフトで快適な着心地を備えています。加えてSHIPSで育った世代、例えば40〜50代のお客様にもご満足いただけるような技術、新しい提案ができるアイテムが揃っていました。男性のドレスクロージングの世界は狭いものです。その枠組みの中で、新しい提案を続けることは簡単なことではありません。サイジングを変えたり、色柄で新鮮に見せたり、素材を変えたり…。同じように見えるけれどもいままでとは違うものを次々と生み出してくる。それがイタリアです」
メイド・イン・イタリーの魅力を坂戸さんはそう力説します。
さらにSHIPS代表取締役社長の原裕章は「昔からSHIPSでは、有名になったブランドを追いかけることをよしとしないところがありました。むしろイタリアでも無名なものを一生懸命探していたと思います」と話します。
アメリカやイギリスから始まったSHIPSのスタンダード探しの旅は、やがてフランスやイタリアへと広がっていき、新しいブランドやアイテムがSHIPSに並ぶようになりました。オリジナルのSHIPSレーベルを含めて、現在店頭に並んでいるのは、さまざまな国のエッセンスがミックスされた現代的なスタンダードの逸品と言えるのではないでしょうか。
remember me?
06
column
01

1986年、東京・渋谷の宮下公園近くにオープンしたのが、MUSEUM for SHIPS 渋谷店という大型店です。現在でも扱っているヴァルディターロが店頭に並ぶようになったのは当時この店のスタッフとして働いていた坂戸典之さんが入社して翌年のことです。やがてベルベストに代表されるクラシコ・イタリアを代表するジャケットが続々と輸入されるようになり、オリジナルのSHIPSレーベルでもメイド・イン・イタリーの製品が作られるようになりました。「イタリア人は日本人にまったくない感覚でデザインします。チェック柄も日本人がとうてい発想できない色で配色をするのです。しかもけっこうその感覚が日本人にも人気になる。そんなイタリアの凄さをこの店で学びました」と坂戸さんは話します。
02

1986年のMUSEUM for SHIPS 渋谷店がオープンして間もないころから展開しているSHIPSのエクスクルーシブブランドのヴァルディターロで、ある意味、SHIPSのメイド・イン・イタリーを象徴するブランドです。イタリア・パルマに本拠地を持ち、欧州の老舗メゾンのジャケットなども手掛けているイタリアでも有数のファクトリー、カルーゾ社で製作されています。サルトの伝統的な手作業をマシーンに落とし込んだその仕立ては、軽く、柔らかく、SHIPSのお客様から高い支持をいただいています。50周年記念に製作されたネイビースーツは、ウール/モヘヤの素材を採用、同ブランドとのコラボレーションでは初となる2ボタンのデザインなど、長年愛用できるオーセンティックな一着に仕立てました。
Valditaro
solid ¥231,000
stripe ¥231,000
03

SHIPSの50周年記念に特別に製作されたジャケットです。マドラスチェックやバティックプリントなど、懐かしいトラッド素材が使われていますが、このジャケットをデザインしたのはイタリアのエリコ フォルミコラです。ナポリで経験を積んだエリコ・フォルミコラ氏が2008年に創業したブランドです。ナポリの伝統的な技術を活かしながらも、時代のトレンドを取り入れた独自の世界観を持ったデザインが特徴です。今回登場した「ルイジ(LUIGI)」と呼ばれる新モデルは、同ブランドらしいワイドラペル×ローゴージの襟のデザインはそのままに、ウエストがシェイプされたエレガントなデザインです。アメリカのトラッドスタイルとイタリアの職人技が合体したようなジャケットです。
Errico Formicola
batik ¥110,000
patchwork ¥110,000
madras check ¥110,000
04

一見、イギリスのクラシックなクラブブレザーに見えますが、このブレザーの素材はネイビーのスエードです。イタリアのチンクワンタがSHIPSの50周年記念のために特別に製作したものです。チンクワンタは、フィレンツェに工房を構えるレザーウェアブランドで、創業者が1950年生まれだったことから、イタリア語で50を意味する「チンクワンタ」をブランド名にしました。SHIPSでも人気が高いブランドですが、ネイビーのスエードのボディにホワイトスエードのパイピングを施したブレザーは、ほかではなかなか見ることができないデザインです。胸に付けられたエンブレムもオリジナルでデザインしました。クラシックとモダンさが共存するSHIPSらしい一着です。
CINQUANTA ¥203,500