誰にとってもスタンダードなアイテムだからこそ、毎シーズン多くのシャツが並ぶ。
その中で、いま選ぶべき一枚は何か。
ここでは、多くの可能性を秘めた一枚のシャツにフォーカスし、
その魅力と着こなしの広がりを丁寧に掘り下げていく。
なぜ、このシャツなのか?
60番手コットンのタイプライター生地を用いたバンドカラーシャツ。
一枚で着ても、軽く羽織っても、自然と雰囲気が生まれる佇まいに仕上げている。
その理由は、素材選びからディテールの積み重ねまで、随所に込められた設計思想にある。
ここでは、このシャツをかたちづくる要素をひとつずつ紐解いていこう。

60番手コットンを使用したタイプライター生地。タイプライターとは、繊維の長い細番手の糸を高密度で織り上げた平織り生地のこと。目の詰まった組織ならではの、パリッとした張りとシャリ感、確かな手ごたえが特徴だ。毛羽立ちが少なく、ほのかな光沢を備えた表情は、薄手ながらも品のある印象。単糸使いによる軽やかなタッチと清涼感が、春夏シーズンに心地よく馴染む。

シャツの顔とも言われる襟には、あえてバンドカラーを採用した。レギュラーカラーのような堅さがなく、首元はすっきりとした印象。程よいカジュアルさと抜け感が生まれ、リラックスしながらも洒落た表情に仕上がる。

アームホールにはアウターを思わせるゆとりを持たせ、全体はリラックスしたフィットに。通常のシャツ地よりも番手と打ち込みを高めた生地の風合いが加わることで、フォルムは自然に流れ、端正な佇まいを描く。

脇や袖下、フロントの前立てにはチェーンステッチを採用。洗いをかけた際、パッカリングが強く出るように設計されており、洗いざらしの自然な表情が際立つ。控えめながら、着込むほどに味わいを深めていくディテールだ。

裾は緩やかなラウンドカット。タックアウトで裾のドレープを楽しむもよし、タックインした際のブラウジングもほどよい分量に収まる。スタイリングの幅を広げてくれる、実用性の高い仕上げだ。
STYLE
2月から5月まで、このシャツと。
2月から5月へ。重ねて、抜いて、力を抜く。
季節の揺らぎに寄り添いながら、日々の装いの軸であり続けるシャツだ。
その着こなしを、4つのスタイルで見ていこう。
Early Spring
月
重ねても、輪郭は崩れない
冬の余韻が残る時期、アウターの内側に仕込むレイヤード前提でも、キリッとした生地感によってシャツとしての存在は曖昧にならない。重ね着の中でも輪郭を保ち、装い全体をすっきりと整えてくれる。防寒を優先しながらも、春を意識した軽さを静かに差し込める。
Between Seasons
月
軽さを、先に取り入れる
コートを着るか迷う時期。バンドカラーの抜けとタイプライター生地の硬質さが、スエードのコーチブルゾンを軸にした装いに一段軽い空気をもたらす。防寒と軽快さのバランスが難しい季節でも、スタイリングの重心を自然に引き上げてくれる。
Mild Spring
月
一枚で、十分
羽織りが要らなくなったら、このシャツが主役。シルエットと素材の表情だけでスタイリングは成立する。あえて袖をまくり、少し着崩すことで、春らしい軽さを引き出したい。ニットを肩掛けすれば、全体の印象にほどよい緊張感が残る。
Early Summer
月
力を抜いて、着る
気温が上がり始め、装いが軽くなっていく5月。ショーツとサンダルを合わせても、タイプライター生地の端正さが、ラフに転びすぎるのを防いでくれる。朝晩の寒暖差や不安定な気候にも寄り添いながら、初夏の装いを心地よく受け止めるのだ。






















