Jazzy Sport Productions × SHIPS JET BLUE  7inchレコードが付いた「ディケーズハット」が発売!? Jazzy Sport Productions × SHIPS JET BLUE  7inchレコードが付いた「ディケーズハット」が発売!?

Jazzy Sport Productions × SHIPS JET BLUE
7inchレコードが付いた「ディケーズハット」が発売!?

多くの音楽玄人を唸らせてきた東京・五本木のレコードショップJazzy Sport Productions(ジャジースポート プロダクションズ)とSHIPS JET BLUEが初のコラボアイテムを発売する。それがなんとフィラデルフィア発のキャップブランド「ディケーズハット」の別注キャップに、7inchレコードが付属したスペシャルパッケージだというから驚きだ。その内容も気になるところだが、そもそもJazzy Sport Productions(通称ジャジスポ)とは何なのか? 盛岡店では大規模なクライミングジムを併設していたり、実力派のトラックメーカーやアーティストを数多くマネージメントしていたりと、その実態を把握できていない読者もきっと多いはずだ。今回は、このコラボを機会にジャジスポの主要メンバーにもお集まりいただき、ジャジスポとは何ぞや? という素朴な疑問と、今回のコラボ企画についてお話を伺った。音楽ファンならずとも必読!

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右:田中 楽(SHIPS JET BLUEバイヤー)/ 右中:Masaya Fantasistaさん(Jazzy Sport Productions 代表)/ 中央:気仙多郎さん(Jazzy Sport Productions エグゼクティブ・プロデューサー/取締役) / 左中:福田 雅人さん(Jazzy Sport Productions A&R)/ 左:佐々木岳洋さん(Jazzy Sport Music Shop 店長)

俺たちだったら、
もうちょっと違うレコ屋ができるでしょって、
集まったんです(Masaya)

??Jazzy Sportはお店ができる前の設立から考えると今年で丸15年ということですが、盛岡店ができるまでは、どんな活動をされていたんですか?

Masaya「DJ Mitsu the Beatsのアルバムを制作していました。といってもJazzy Sport Productionsを設立してから10ヶ月後には、一番最初の盛岡店がオープンしているので、それほどタイムラグはありません」

??そもそものコンセプトはどういうものなのでしょうか?

Masaya「“音楽とスポーツで世界を一つにする”ということです」

??今のメンバーは、どのようにして集まったんですか?

Masaya「自分と気仙は以前は同じ音楽レーベル※1で働いていまして、退社して独立したという感じです。それで盛岡にお店を出してから、東京にもできるだけ早く進出したいと思っていて、当時まだギネス※2にいた(佐々木)岳さんを勧誘してたんですよ、“もう辞めちゃいなよ”とか言いながら(笑)」

佐々木「ジャジスポができた当初から、僕は考え方に共感していたんですよ。それで2003年の1月にGuinness Recordsを辞めて、準備期間を経てその年の10月に正式に入りました」

Masaya「1年前の夏ぐらいから話はしてたよね」

??そもそも佐々木さんとMasayaさんたちは、どういう繋がりがあったんですか?

Masaya「当時のギネスの客です、俺たちが」

佐々木「そうです。何かレコード入ったら、入ったよって連絡したりとかしてました」

Masaya「岳さんはGAGLE※3 のファンクラブ1号ぐらいの勢いで応援もしてくれてましたから」

佐々木「GAGLEの面々は元々、通販会員で名前を見かけていて。昔のレコード屋って通販カタログをプリントアウトして郵送していたんですが、注文しない人はどんどん会員リストから抜けていったんです。でも川村と三浦※4っていう名前は、ずっと会員ナンバーが若いまんまで残っていて、この人たちすごいなぁ、いつも買ってくれて嬉しいなって思ってたんですよ。そしたら、ある時お店に来て、自己紹介してくれたんです。そのときから知ってますね」

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??それは興味深いですね。かつては、みなさん店員とお客みたいな間柄だったということですね。

Masaya「そうです。岳さんは無愛想な店員として有名だったから(笑)。当時“マンハッタン3”※5 ができて、ヒップホップとかジャズとか、テクノまで扱うようになってて、ギネスも当時はヒップホップ以外のちょっとクロスオーバーなものとか置き始めていた時期だったんだけど、俺らは当時からどっちも好きで。でも俺たちだったら、もうちょっと違うレコ屋できるでしょって、マンハッタン3にいた西やん※6 と、ギネスにいた岳さんに話をして、いっしょにやろうとなったわけです」

音楽と絡んだことはやりたいなとは
常々考えていました(田中)

??なるほど。ちなみに、そのとき田中さんは何をされていたんですか?

田中「僕も同じくギネスの客で、岳さんとは知り合っていました。当時、自分も無愛想だったんですけど(笑)」

Masaya「なるほどね。無愛想同士、気が合うみたいなね(笑)」

田中「そうですね。GAGLEは『PRACTICE&TACTIX』※7を買って、その後ジャジスポの存在を知りました。僕はまだ大学生だったんですけど、岳さんがギネスを辞めてジャジスポに移ったと聞いてから、よく渋谷の店※8には行くようになりました」

??その当時、将来Jazzy Sportと何かやりたいとは思っていましたか?

田中「SHIPSに入って、ジャジスポと何か企画をやりたいとか、具体的なことは考えていなかったですけど、音楽が好きだったんで、音楽と絡んだことはやりたいなとは常々考えていました。そしたらBudaMunkさんがうちでキャップを買ってくれたという経緯があったので、五本木のお店にも来るようになって、何か企画をやりましょうという感じになったんです」

??今回は、キャップの別注に加えてレコードが付くそうですが、こういった企画は今まであったんですか?

気仙「レコードが付くのは初ですね」

??巷では7inchブームだとか、アナログ復活とかいろいろと言われていますが、レコード店として何か感じるところはありますか?

佐々木「そこまでというか、あんまり変化は感じないですね(笑)」

気仙「ただ、普段はプレスをしないアーティストも、レコードを作ったりすることもあるので、流行っているという空気感は、確かに感じるところはあります。ムードというか」

佐々木「アナログが増えたといっても、それがアイドルのものだったりもしますからね。プレス工場はいいんじゃないですかね」

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この場所まで足を運んでくれる
お店であり続けることは大切だと思う (佐々木)

??そうなんですね。でも、昔来ていて見なくなったお客さんが、最近また来るようになったとか、そういうことはないんですか?

佐々木「それは、レコードブーム云々ではなくて、五本木にお店が移ってから感じることは常にありますよ。ここは何屋だろう、みたいな感じで入ってきてくれる方もいますし。以前は渋谷のレコード屋がいっぱいある場所にありましたけど、今はこういう場所に引っ越してきたんで、本当に興味のある人しか来ないですから。そういう人たちが、わざわざ電車やバスを乗り継いだり、車に乗って来てくれるわけです。本当に好きな人しか来ないから、それはお店的には嬉しいですね」

Masaya「ここに引っ越すときから明確にそれはイメージとしてありましたね。たくさんあるうちの1つだと面白くないって思ってたんですよ。レコード屋を巡ってる人が惰性で入ってくるお店じゃしょうがないなという気持ちもありましたし。宇田川町も淘汰されてた時代でしたから、五本木に移ったのは正解だったなと思っています。ここに来たことで渋谷とは違う人たちが来ることもありますし、自分たちも、今まで渋谷に来てくれていた人たちがわざわざ来てくれるようなお店でいられるように努力が必要なんで。そのほうがいろんな意味でいいなと思うんですよ」

佐々木「この場所まで足を運んでくれるお店であり続けるということは、確かに大切だと思いますね」

??それは考え方としてもポジティブですね。設立から15年を迎えて、これからさらにやっていきたいことは何かありますか?

佐々木「自分たちが納得できる、欲しいと思えるレコードを仕入れて、それを求める人たちにしっかり届けたいということは変わりません。あとは、自分のところで作っている音楽をお店に並べて、そういった音源の割合も今以上に増やしていければと思っています。作ったものを売る場所としての機能をちゃんと果たしていければいいですね」

気仙「音楽を作っていければエクスクルーシブで先に出すとか、そういうこともできますから、スペシャル感はちゃんと演出していきたいですね。海外にはそういうレコード屋が普通にありますから、自分たちももっとできるようにしていければと思っています」

Masaya「自分は、地元の横須賀にJリーグのチームを作りたい(笑)。それはちょっと極端ですけど、ローカルというか地域に何か影響を与えることをもっとやっていきたいなと思っています。最初の10年ぐらいまでは、いっぱいいっぱいで視野が狭かったけど、みんなもう子供もいる年だし、より未来に何が残せるか、子供たちに何が残せるかっていう意識は、前よりは芽生えてきたかもしれませんね」

??次の世代のことを意識しだしたということですか?

Masaya「まさにそうです。盛岡のクライミングジム※9に登ってるコがオリンピックに出られそうだったりとか、自分たちのやってきたことで、新しい出来事というかトピックスも増えてきたんですよ。それって、今までのレコードショップではありえないことですし、喜びですよね」

??スポーツも地道に続けているわけですね。

Masaya「そうです。やっぱり、自分たちがやっている音楽よりスポーツは話が早いというか、すぐにいろんな人たちとコミットできますから。サッカーとかスキーとかクライミングとか言えば、別に音楽の趣味とかファッションの趣味がどうとか関係なく、仲間になれるというか。やっぱりそういうことって大事だと思うんです。それが入り口になって、ジャジスポが提案している音楽に入ってきてくれる人もいっぱいいますから。音楽はよく知らないけど、“なんかいいよね、あの人たち”、みたいな理由で、じゃあ音もちょっと聴いてみようとなるのも大事だと思います。クラブに来ている人たちだけを相手にしていたら、その人たちはある程度最初からアンテナがこっちに向いているわけですから。そうじゃない人たちを自分たちの音楽だけで振り向かせるのは難しいと思いますし」

??そういう意味では、今回のSHIPS JET BLUEとの企画でも、新しい人たちがジャジスポに興味を持ってくれるかもしれませんね。

Masaya「まさにそうですね。入り口を広げてもらえるいい機会だと思います」

田中「SHIPS JET BLUEとしても面白い人たちを紹介したいっていうのが、根底にあります。きっとジャジスポが何かをわからない人たちもいっぱいいると思うので、それをお客さんに紹介して、こういう人たちや、こういうムーヴメントがあるということを広めていけたらと思っています」

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※1 老舗インディーズレコード会社、ファイルレコードのこと。かつては、RIP SLYMEやRHYMESTERなども所属していた。※2 渋谷宇田川町にあったレコード店、Guinness Recordsのこと。DJのNujabes氏が作ったお店としても知られていた。多くのDJや音楽関係者も足繁く通った名店の一つ。 ※3 仙台を拠点に活動する3人組のヒップホップユニット。Jazzy Sportに所属している。 ※4 GAGLEのメンバー。川村はDJ Mitsu the Beatsこと川村光利、三浦は DJ Mu-Rこと三浦幸一。ちなみにもう一人のメンバー、MC HUNGERこと川村光児はDJ Mitsu the Beatsの実弟にあたる。 ※5 渋谷宇田川町にあったマンハッタンレコード3号店のこと。ちなみにフラッグシップ的位置づけの1号店は、ヒップホップやR&B、2号店はハウスが中心だった。3号店はジャズに加えて独自のセレクションが色濃く、多様なクラブミュージックが楽しめた。ブロークンビーツなどを専門に取り扱っていたHOTWAXというお店もあった。 ※6 バイヤーだった西田直紀さんのこと。現在はJazzy Sportのバイヤー兼ディストリビューションを担当している。 ※7 GAGLE最初期のアルバム『BUST THE FACTS』に収録されていた名曲のSOLJAZZMIX盤。2001年発売。 ※8 Jazzy Sportは、最初は渋谷宇田川町の雑居ビルの中にあった。今現在の目黒・五本木に移転したのは2010年の5月。 ※9 Jazzy Sportの国内一号店の盛岡店には、大掛かりなクライミングジムが併設している。玄人から素人まで多くのクライマーが集まり、音楽以外にも多くのスポーツイベントが開催されている。

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今回のコラボレーションは、被りの浅い6枚ハギのクラシックなキャップに、Jazzy Sport Productionsの立体的なロゴ刺繍を配したシンプルデザイン。飽きのこない3タイプがラインナップしている。付属の7inchレコードは、DJ Mitsu the BeatsがBudaMunkの楽曲を、BudaMunkがDJ Mitsu the Beatsの所属するグループGAGLEの楽曲を、各々リミックスしており、この企画でしか手に入らない。

キャップ各¥6000(+tax)/Decades Hat Co.× Jazzy Sport

Artist:DJ Mitsu the Beats/BudaMunk
Title : BudaMunk - Keep it Movin’ Feat. 5lack','ISSUGI & mabanua ( DJ Mitsu the Beats Remix ) / GAGLE - Sound Of Silence ( BudaMunk Remix )
format:Hip Hop 7inch
Cat# Jazzy Sport / JSV184

Side-A
BudaMunk - Keep it Movin’ Feat. 5lack ISSUGI & mabanua ( DJ Mitsu the Beats Remix )

Side-B
GAGLE - Sound Of Silence ( BudaMunk Remix)

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東京を拠点に活動するMC。2009年に1stアルバム『Tursday』を発売し、アンダーグラウンドで注目を浴びる。以後、2010年に2ndアルバム『TheJointLP』、2013年には3rdアルバム『EARR』を発売。ヒップホップ・チームのMONJUやDOWN NORTH CAMPの一員としてだけでなく、BUDAMUNK、S.l.a.c.k.と共に結成したSICKTEAMとしても精力的に活動を続ける。2015年4月には、ISSUGI & DJ SCRATCH NICE名義で4thアルバム『UrabanBowl Mixcity』をリリース。現在はサイゾー動画と連動した自身の番組『7INCTREE』にも出演している。そして今冬ついに、NYのブルックリンを拠点に活動するプロデューサー、GRADIS NICEと共に手がけた待望のニューアルバム『DAY and NITE』をリリース。

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ヒップホップ プロデューサー/トラックメーカー。1996年に16歳で渡米。DJやトラックメーカーとして、L.A.を拠点に活動を開始する。2004年からは、MCのJoe Styles、OYGと共にKeentokersとして多くのステージを経験。個人としてもローカルイベントのビートバトルで優勝するなどスキルを磨く。2006年に帰国し、Jazzy Sportに所属。ISSUGIや5lackと結 成したSick Teamや盟友mabanuaとのユニットGreen Butterとしても活動の幅を広げてきた。2014年にはアメリカのDellicius Vinylから音源を発売。翌2015年には、ソロとしては2作目になるアルバム『The Corner』を発売し、シーン内外で話題となる。

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東京都目黒区五本木3-17-7
?03-6452-3916
営14:00?21:00
http://www.jazzysport.com/