「未来は過去にある」ー宝石のような輝きを放つ紳士達ー 「未来は過去にある」ー宝石のような輝きを放つ紳士達ー

「未来は過去にある」ー宝石のような輝きを放つ紳士達ー

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ここに紹介されている紳士達の共通点は、独自性を基本にした視点から生まれる佇まいみたいなものを、大事に磨き続けている人々のスタイル。ストイックな価値観を伝承する人々として、今も装いに”誇りと名誉”を表す姿とその生き方だ。そもそもその始まりは、階級社会から生まれ引き継がれてきた装いで、その原点には誇りと名誉の意味合いも深くあったが、いつのまにか格式を重んじる窮屈なものは敬遠され、取り払われていった。これは一般的にいわれる話だが、婦人女子が求めるような「進化より変化」にウエイトをおいたファッションの変革が、その後の紳士服に影響を及ぼしていった事もある。この本から見えるものは、1. 均一化したグローバルスタイル、2. いくつかの洗練された独自性、3. 良く整ったコンテンポラリーダンディズム、4. 生き方や職業に表される様々な国々の人達、5. 熱心な研究、6. 背景の家具、調度品に見られる調和とハーモニー、である。1933年創刊、メンズファッション誌「エスクァイヤ」が当時提案したメッセージを彷彿とさせる。編集長アーノルドギングリッチが宣言したのは、この「エスクァイヤ」は伊達男の入門書ではないということ。そして、厳格なドレスコードに縛られることを好まない多くの男性陣に対して新しいスタイル提案をし、それを証明した。「エスクァイヤ」は個人の生活を大切にし、趣味

(テイスト)と質(クオリティ)にこだわる人達を対象に構成されていた。「服はスタイルの表現である」と考え、ワードローブが実生活において益々重要になっていくと語り、ゆえに正しい選択と趣味の良いウェアリングを、何をどう着るかを考え、何よりもあなた自身をどう反映するべきかと提案したのだった。またその昔、「ヴァニティフェア」という貴賓に満ちた雑誌があった。創刊1892年12月、当時35セントの非常に高価であったこの本は、貴族(紳士淑女)の為の本であった。この中には常に世界(ロンドン、パリ、ニューヨーク)の一流店「サルカ」「ドブス」「ブルックスブラザース」の紹介もされていた。なんといっても人気は、画家ローレンスフエロウズやレスリーサールバーグの描くスタイル画であり、多くの紳士達に影響を及ぼした。今回紹介するこの本はまさに、それらのスタイル画のように輝いている。この本が魅了的なのは、服が新しいとか古いとか、ブランドがどうだとかといった価値観に縛られていないところ。そこに映し出されている人物の姿にはストーリーがあり、「なぜそれを着ているか」と興味や関心を抱かせる。日常の装いの中に、着る人にとってパワーやエネルギーを与えてくれるそれぞれの趣味性を取り込む、そういうウェアリングこそ、ファッションの面白さなのではないかと僕は思う。

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「I am Dandy」 ( THE RETURN OF THE ELEGANT GENTLEMAN)

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『男の着こなし最強メソッド 服は口ほどにものを言う』
PHILOSOPHY OF CLOTHES
鈴木晴生著

SHIPS顧問である、鈴木晴生氏が考えるスーツの着こなしを表現した書籍が講談社より出版されました。着こなすことについてその基礎となる考え方から、服装によって如何にして自身を魅せるかなど、長年にわたる豊富な経験と知識からなる確かな審美眼とその感性を織り交ぜて綴られています。ぜひこの機会にSHIPS店頭、全国の書店等にてお手に取ってご覧下さい。
知るべきは「何を選ぶ」、ではなく「どう着る」のか。
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