Safe & Clean Vol.14 ?マリンエデュケーターの今村直樹さん? Safe & Clean Vol.14 ?マリンエデュケーターの今村直樹さん?

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Safe & Clean Vol.14 ?マリンエデュケーターの今村直樹さん?

Safe & Clean Vol.14
?マリンエデュケーターの今村直樹さん?

SHIPS'S EYE

下田ライフセービングクラブの活動理念に賛同し、その発展と振興をサポートしているSHIPS。今回は、そんな同クラブのメンバーであり、神奈川県の葉山町で「TIDE POOL」という海での活動を中心とした自然介在教育や、パーソナルトレーニングなどをおこなっている今村直樹さんが登場! レジャーではない、海での活動についてお話を伺った。

大学3年生のときだったかな。ある日、みんなの練習から外れて、白浜(下田)でひとりプカプカ浮いてたんです。その日、そのときの一瞬の海の色、そこから見える景色、すべてが衝撃的に美しかったんです。そのときに、この感動はひとりじゃなくて、みんなに味わって欲しいなって。あの瞬間の体験が、今でも海の仕事を続けている理由ですね。

ライフセービングは、大学2年生のときに、先輩に誘われて始めたんですよ。かなり強引な誘いだったんですけど(笑)。でも、人の役に立つならいいかなって。もともと水泳やレーシングカヤックをやっていたので、泳ぎは自信があったんですけど。最初はびっくりするくらい何もできなくて。海は風や波とかもあるし、自分が溺れるんじゃないかってくらい。それでも、大学3年の冬には、オーストラリアの「マルチドーサーフライフセービングクラブ」との交流プログラムに参加して。当時、僕は日本の資格である「ベーシック」すら持ってなかったんですよね。パトロールに必要なチューブ(浮き輪のような道具)も、オーストラリアで初めて触りましたから(笑)。

結果的にはライフセービングにどっぷりハマって、オーストラリアに住もうと。日本とは違うビーチカルチャーがあるし、ライフセービングの最先端ですから。その仕組みとか背景、ライセンスの手順とかを見たくて卒業後に渡豪したんです。語学学校に行って、就職もしたんですけど、結局はビザが取れず2年半後には帰国。日本に帰ってから、いわゆる会社員を1年半やりましたけど、やっぱり海の仕事がやりたくて辞めました。

そこから、子どもたちに海洋教育をしているNPO「オーシャンファミリー」に入ったんです。活動のなかで、ジャック・モイヤー先生というクマノミの生態研究とかで知られている有名な海洋生物学者に出会ったんですよ。その影響で、子どもたちに海の素晴らしさを教えて行きたいって、具体的な目標が見えたんです。そこには4年間在籍して、次は大人の世界を見てみようと、アウトドアフィットネスで知られる「BEACH葉山」に4年いました。

独立して「TIDE POOL」を設立したのが2011年。僕は「自然介在教育」って呼んでいるんですけど、海をメインにして子どもの教育をしていきたいなって。自然のなかで、発見や感動、強さ、厳しさなどを伝えていきたいんです。ここでは立体的にものを考えられるようにロープワークを利用したり、千葉の館山に行ってジンベイザメと泳いだり、冬は犬ぞりをしたりしていますね。今は、小学校1年〜6年生まで25人が在籍しています。人からよく言われるのは、「海のボーイスカウトみたいだね」って。また、保育園で講師もしています。ライフセービングの精神を教える授業。それを室内でいかに体験できるか、いつも悩みながらカリキュラムを考えています。

子どもたちには、楽しいだけでなく怖さも知って欲しいんです。海でも山でも、必ず生きて帰ってくることが大事ですから。あとは、僕がオーストラリアで学んだ、誰にでもフレンドリーでウェルカムな姿勢。それは挨拶が基本だなと思っていて。でも、何より一番大事なのはワクワク感ですよね。僕は一晩中いい顔しながら好きなことを熱く語れる大人になりたいし、子どもたちからは「大人になるって楽しそう」って思われたい。実際、僕が一番楽しんでやっていますから(笑)

今後は、海の仕事のステイタスをもって上げていきたいですね。オーストラリアでは、ライフセーバーは尊敬される仕事なんです。日本ではどうしてもバイトの兄ちゃんって感じですよね? でも、大きい波の中で人を助けるって特殊技術なんですよ。命をかけてやっているし、日々訓練している技術をダンピングする必要なんてまったくない。プロとしての対価があるべきだし、仕事としての価値を見いだして欲しいですね。また、僕が実践している「マリンエデュケーター(海の教育者)」という仕事を根付かせていきたいとも思っています。レジャーから教育へ。海遊びっていうと、まだレジャーとしか思われていないですけど。教育という側面があることを多くの人に認知して欲しいですね。そういう仕事を、次の世代に引き継いでいきたいんです。

また、今は海と川と山に線が引かれていて、知恵や知識が横に繋がっていないんです。レスキューするノウハウを持った人でも、海の人材は川が恐いと言い、川の人材は海が恐いと言う。それってお互い知らないだけだと思うんです。徐々にですけど、その垣根を超えて知恵や知識を共有できるように交流を初めているんです。僕がやらないといけない仕事はまだまだたくさんあるんです。

今村直樹 Naoki Imamura

海のない埼玉県出身 3歳から水泳を始め、全国大会など出場 高校からレーシングカヤックと出会い 日本代表へ・・・。幼いころから勝負の世界に生きてきたが、 大学時代にライフセービングと出会い、海に魅せられ、「この感動を多くの人に伝えたい!」と強く想うようになる。大学卒業後は渡豪し、町に根づくOCEAN CULTUREを肌で感じながら、オーストラリアクイーンズランドの専門学校でスポーツ&レクリエションを学ぶ。 オーストラリアの島(Great KeppelやLady Elliot Island)でマリンガイドやキッズクラブで働きながらライフセービングを学び、 帰国後は葉山にある「NPO法人オーシャンファミリー」へ。その後、大人を対象とした「OUTDOORFITNESS CLUB BEACH HAYAMA」にてマネージャーを務め、教育と海洋の両輪をテーマに活動。 2005年〜2008年まで、「MOLOKAI HOE」アウトリガーカヌーレースに出場。カヤック、沖縄の伝統帆船サバニ、ライフセービングインストラクター、ダイビング、オーシャンスイム、大学、専門学校講師、保育園専任講師など幅広く海を楽しみ、伝えている。

主な資格および戦歴

JLAライフセービングインストラクター
CPRインストラクター
ウォーターセーフティーインストラクター(WSI)
BEACH HAYAMA インストラクター
一般社団法人アウトドアフィットネス協会 講師
poppins Corporation アクティブ ラーニング講師
東京スポーツ・レクリエーション専門学校講師
小型1級船舶
SLSAシルバーメダリオンライフセーバー
JRCAカヤックインストラクター
(カヤック&カナディアン)
スノーケリングインストラクター
レーシングカヤック元日本代表