TRANSIT × BIRD NAONORI KATOH × SAYOKA HAYASHI TRANSIT × BIRD NAONORI KATOH × SAYOKA HAYASHI

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SHIPS'S EYE

編集部ではまったく口を利かないTRANSIT加藤とBIRD林女史が、旅の途で道中を実況中継。第4回はスペイン巡礼(加藤)とアイスランド(林)の旅路にて。おーい、たまには旅の話でもしようよ。

加藤 (トルルルルー)。おお、やっとつながった。今、アンコール・ワットの朝陽を拝んできたところだ。カンボジアは30度くらいあって暑い!そっちはdo?ウィーンだっけ?

 (あ、出ちゃった…)こちらは今、プラハ、ウィーンとめぐって旅の最終目的地ブダペストにやって来ました。どの街も紅葉が美しいですがプラハは日本より寒く、ウィーンは日本とほぼ同じ、ブダペストは暖かいですよ。

加藤 俺は久々にあまり移動しない旅をしている。シェムリアップと近郊に10日間。クメール遺跡をめぐりながら彼らの宇宙観に迫っている。昨日も満月とアンコール、そして堀の水面に星空を浮かべて撮影した。とても美しい構図だったよ。

 なんだかロマンティックな撮影ですね!スペインの巡礼ゾンビから、いきなりどうしちゃったんですか!? こちらはヨーロッパの古都と呼ばれる3都市を、ハプスブルグ家が隆盛していた時代の古き良き伝統と現代の暮らしの新しい息吹を追い求めながら旅をしています。

加藤 次のBIRDは中欧ヨーロッパか。完成された美だよな。俺たちもハプスブルグみたいなパトロンがほしいよな。がはははは。でどうなの?そっちの美女事情は。

 どこを切り取っても絵になると言われるように、たしかに完成された美ですね。とくにプラハの旧市街やウィーンのリングシュトラーセ内、ブダペストのドナウ川沿いは。音楽や芸術を愛し文化を保護してくれるオトナ?いいですね〜。美女はいっぱいいますよー。ただ…「あ、かわいい」と思って声をかける子がみな10代…。

加藤 早熟だからなヨーロッパの女子は。カンボジア女子は純朴そのものだ。今日は密林の瓦礫の中にひっそりと眠るアプサラ(女神)を撮影しに行こうと思っている。まあさっきはリアル女子会に遭遇して俺とカメラマンの方をみてキャッキャッ言ってた。たぶん俺とカメラマンどっちがタイプ?とか話してたんだろうなあ。しかしまあ12世紀とかに彼女たちみたいなアプサラ(踊り子でもある)がいて、その優美な姿が美しすぎて彫刻に彫ったんだろうな。なにせフランス人探検家が持ち帰ろうとして逮捕されたくらいだからね。ヨーロッパ人のオリエンタルへの憧れの地なんだろうな。

 (きっと女子会のコはみんなカメラマン派だろうな…)たしか、アンコール・ワットのほかにもまだ発掘されていない遺跡があるんでしたっけ?? ウィーン、プラハ、ブダペストは偉大なる遺産に生きる都市なので、カンボジアのような神秘さは正直あまり感じないです。手に届くもの、目に見えるものよりも、クメール王朝のように謎めいたものに憧れるんでしょうね。密林の中に眠る女神、ものすごく気になります!

加藤 カンボジアをはじめとするインドシナの国々はフランスを筆頭にヨーロッパの国々が植民地支配した歴史がある。クメール人が築き上げた壮大な遺跡群も矮小な“現代人”によって瓦礫と化し密林に埋もれている。この国はつい最近まで内戦で傷ついてきた。そして密林の奥には悲しき戦で埋められた地雷源がまだまだごろごろしているんだ。奥まで入ってみないとわからない美を探求した特集になると思う。BIRDも引き続き気をつけて美しき世界を隠された裏側にある珠玉のような美を探してほしい。読者にきっと伝わるはずだよ。

 珠玉のような美!ハードル高いですが、美女はみな10代だった、の一言撤回します。3都市の景観の美はもちろん、より精神的な美しさやおもしろみに触れられるようがんばります。ではそろそろ〜。

加藤 (Skype切られそうになるところを無理矢理制して)それはそうとちょっとヘリで空撮とかしちゃって金がないんだ。毎晩タイから出稼ぎにきた“おニイさん”とカラオケに繰り出しちゃってね。いやー面目ない。そっちから少し送金してくれないか。頼むよ…。

 えーー!私がパトロンですか…。というか、それは経費の無駄遣いというものです。ハプスブルグ家出身でフランス・ブルボン家に嫁いだマリー・アントワネットはその豪華な衣装や美しさで人気ですが、浪費家として国民には煙たがられていたそうですよ……。

加藤 ……パンがないならケーキをください!

 バード家とトランジット家のお財布は別です!あ、アプサラちゃんにヨロシクお伝えください。お気を付けてよい旅を〜(ガチャ)

加藤 カンボジアには相互扶助の精神があってだな、困ったときは助け合う…(Skype切れてる)……というわけでBIRD最新号は12月12日、TRANSITは12月16日発売です!

加藤 直徳

1975年生まれ。編集者。出版社で『NEUTRAL』を立ち上げ、euphoria FACTORYに所属。現在トラベルカルチャー誌『TRANSIT』編集長を務めている。最新号は「美しき水と密林の奥へ〜ベトナム・カンボジア・ラオス」12月16日(月)発売!
www.transit.ne.jp

林 紗代香

1980年岐阜県生まれ。編集者。大学在学中の編集アシスタントを機に、『NEUTRAL』に創刊時より参加。その後いくつかの雑誌編集部を経て、最終期に出戻り。2011年『BIRD』発刊。2013年に講談社にてリニューアル創刊。編集長を務める。4号「ウィーン・プラハ・ブダペスト特集」は12月12日(木)発売!
www.transit.ne.jp/bird