自宅で簡単に工業製品が作れる!3Dプリンター&スキャナってなんだ? 自宅で簡単に工業製品が作れる!3Dプリンター&スキャナってなんだ?

自宅で簡単に工業製品が作れる!3Dプリンター&スキャナってなんだ?

自宅で簡単に工業製品が作れる!3Dプリンター&スキャナってなんだ?

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3Dデータを送ると、そのカタチを樹脂や金属などで自動的に作り上げてくれる「3Dプリンター」なる製品が大きな注目を集めている。
3Dデータさえあれば、発明家の主婦は企業に頭を下げることなく試作品が作れ、アニメ少女は自作のキャラクターをフィギュア化でき、おしゃれ女子はオリジナルアクセサリーを簡単に作ることができてしまうのだ。
そして、いまはそこからさらに進んで、「3Dスキャナ」なるものも登場している。ここでは、それら3Dテクノロジーの世界を簡単に説明していこうと思う


3Dプリンターは今から約25年前に誕生。当時は非常に高価で、多くは航空宇宙産業や自動車産業などでの試作品作りに利用されていた。しかし、ここ数年で価格が下がり、日本でも安いものでは35万円程度で買えるようになっている。これにより個人所有でき、自宅で工業製品が1個単位で作れる時代になったのだ。余談だが、すでにオバマ大統領は3Dテクノロジーを使ったモノ作りの研究、および促進のために6000万ドルの補助金プログラムを創設。そのような動きはEU諸国などにも広がっている。

3Dプリンターが世界的な話題になったのは、『ロングテール-売れない商品を宝の山に変える新戦略−』(2004年)、『フリー−無料からお金を生み出す新戦略−』(2009年)の著書である、『ワイヤード』 US版の元編集長クリス・アンダーソン氏が昨年『メイカーズ−21世紀の産業革命が始まる−』を発表したことに起因する。新しい時代の到来を的確に予見してきた彼が、3Dプリンターを「21世紀の産業革命」と評したことでこれまで一部のギークしか話題にしていなかったものが一般まで広く浸透したのだ。3Dテクノロジーが社会にどんな変容をもたらすかについてはその著書に任せて、ここではざっくり何ができるかを具体的に見ていこう。

ここまでは話題の3Dプリンターについて書いてきたが、一歩先行くSHIPS MAGは「3Dスキャナ」に焦点を当てた。何故なら、3Dプリンターで何かを作るためには、3Dデータを自分で制作するか、誰かの作った3Dデータを利用するしかないからだ。無料の3Dデータ作成ソフトもネット上にはあるが、まずは「複製」に主軸を置いて気軽に3Dプリンターを利用してみたいと思う。

被写体にマーカーを貼ったり、スキャナーを固定することなく、カメラ撮影する感覚でデータをパソコンの画面で確認しながらスキャニングしていく。

スキャニングしたデータで不要な部分を削除したり、数回に分けてとったデータの特徴を認識させることで自動的に位置を照合。より正確なデータを作成していく。

重なり合うポイントや余分な部分を間引き、完全なひとつのモデルとして結合していく。

SHIPS Khaju PRESS担当の野海道が、今シーズンおすすめのアイテムを着用。
ここで野海道3Dフィギュアを作っちゃいます。
ご協力頂いたのは、3Dテクノロジーのエキスパートである(株)データ・デザインさんと武藤工業(株)さん。

ビデオカメラと同じ感覚で3次元の物体を撮影する小型で軽量なリアルタイム3Dカメラ。マーカー貼り付けなどの段取りをする必要がなく、1秒間に16ショットという高速連続撮影が可能。しかも、静止画だけでなく移動する物体のスキャニングもおこなうことができる。(基本パッケージ:350万円)
http://www.datadesign.co.jp/artec3d/product/artec-eva.htm

3分間ほど静止してもらい、モニターで確認しながら全身を数回に分けてスキャニングしていく。その後、編集ソフトを使い、パズルのパーツを組み合わせるように全身のスキャン画像を作っていく。スキャニング自体は誰にでもできるが、パーツを組み合わせる編集作業や、最終工程であるモデリング作業は多少の技術が必要なので、専門家の講習を受けることをおすすめする。

今回使用した3Dプリンターは、武藤工業(株)さんが所有する大型造形対応も可能な高精細フルカラーモデル「ZPrinter850」。この3Dプリンターは、ブロックを削りだしていくのではなく、立体を薄くスライスした状態のデータを読み取り、インクジェットと同じ方式で石膏パウダーを噴射していく。これは「積層方式」と呼ばれ、現在の主流派となっているモデルだ。1時間に厚さ約15mmの出力が可能。誰でも数時間で操作を覚えることができ、音もそれほど気にならないのでオフィス内で使用することができる。

http://www.zcorp.com/jp/Products/3D-Printers/ZPrinter-850/spage.aspx

ZPrinter850
最小表現サイズ 0.1mm
解像度 600×540dpi
最大造形サイズ 508mm×381mm×229mm
造形素材 石膏ベース高性能複合素材
造形スピード 5〜15mm/時間

フィギュアを取り出し、周りに付着している石膏の粉をエアスプレーで丁寧に払い落としていく。
その後、専用の保存液をかけて乾燥させたら完成!

「こんなに簡単に、自分のフィギュアができるとは思いませんでした。しかも、本当に自分にそっくりでビックリしました。スキャニングされながらどう活用しようかと考えたのですが、結婚式のウェルカムボードのデコレーションに使うのもいいかな? なんて思ったり。まだそんな予定はないんですけどね(笑)。でも、自分に子どもができたら、七五三や入学式などの記念に、写真とは違う思い出として残せたらおもしろいなと思いますね」

3Dスキャナを使って、ボディのデータをスキャニングすれば洋服のパターン作りに応用することも可能。また、精密な寸法を個人でスキャニングすれば、お店に行かずしてあらゆるものをビスポークで注文することも将来的に可能になってしまう。

3Dスキャナと3Dプリンターを活用して、子どもの成長に合わせたフィギュアを作りたいという需要が伸びているとか。リビングに写真ではなく、家族フィギュアが並ぶ時代もそう遠い話ではない? 個人のアイデア次第でさまざまに活用できそうだ。

武藤工業(株)さんでは、石巻専修大学「復興共生プロジェクト」チームとともに、宮城県石巻市の街並みを3Dプリンターで再現する活動をおこなってきた。災害前の復元立体模型を制作することで、ふるさとの町並みを思い出し、復興のための元気、希望、奮起を醸成するきっかけを作りたいというこのプロジェクト。すでに作業の全工程が終了し、現在は石巻専修大学などで展示されている。興味のある方は是非一度足を運んでみて欲しい。

石巻専修大学復興共生プロジェクト
http://www.isenshu-u.ac.jp/fukkou/info/3d.html

株式会社データ・デザイン

http://www.datadesign.co.jp/
3Dスキャナー“Artec Eva” 
担当:熊谷さま、桑原さま

武藤工業株式会社

http://www.mutoh.co.jp/
3Dプリンター”ZPrinter850”
堤さま、大関さま、鮫島さま