音SHIPS −アートディレクター近藤麻由さん− 音SHIPS −アートディレクター近藤麻由さん−

音SHIPS −アートディレクター近藤麻由さん−

音SHIPS −編集者・呉屋秀樹さん&スタイリスト・林道雄さん−

音SHIPS −アートディレクター近藤麻由さん−

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寒い冬が終わり、ついに春夏シーズンが到来! そんなタイミングに店頭に並んだKhajuの2013年春夏カタログ。今回の音SHIPSは、Khajuのキュートな世界をカタログで表現してくれているアートディレクターの近藤麻由さんが登場。週末はDJとしてフロアを盛り上げている近藤さんに、Khajuのカタログにフィットする音楽を選んで頂きながら、撮影秘話をお聞きしました。


――近藤さんがカタログをディレクションされて5シーズン目となりますが、今回はどんなコンセプトで作られたのですか?

近藤 今回は「街」をキーワードに外だけでなく室内での回想シーンも入れながら、女の子の過ごす時間をKhajuの世界観で表現しました。

――Khajuのカタログを作るうえで、毎回何か気を使っていることなどありますか?

近藤 Khajuは「ポジティブな快活さと、ドリーミーでファンタジックなムードを併せ持った女の子」という女性像がベースにあるので、そこに撮影テーマやシーズンのトレンド感を加えていってます。

――以前のインタビューでは、旅や音楽、映画がクリエイティブソースになっていると仰っていましたが、今回はどんなものがソースになっていますか?

近藤 映画はいつも何となく頭の中にソースとしてありますね。特定の何かっていうわけではなくて、漠然とあの映画のワンシーンみたいなとか、あの光のさす感じとか。音楽だと昔のあのジャケットの雰囲気みたいな、というようなものです。今回は街中をいろいろ移動しながらの撮影をしたので、都会を舞台にしたロードムービーっぽさもあったり。グリーンの柱が入っている写真は街の空気感と奥行き感があって気に入っています。公衆電話やカフェ、本屋さんとかにも行きました。部屋のシーンでは逆に静かでロマンチックな雰囲気を演出しています。自分の時間を大切にしている自立した女の子像を写真から感じて貰えたらうれしいですね。

――どの写真も雰囲気があって、また光の加減がすごくいいですね。

近藤 今シーズンのブランドテーマが「PURE AND LIGHT」だったので、自然の光でストーリー性を表現したかったんですよね。いろんな光が流れの中で展開をもたらせてくれています。カタログの見返し部分には自然光から切り取ったアブストラクトなイメージカットを入れたいと思いました。天気がいい日の窓辺や、木漏れ日のなかにいるときに感じている光みたいなイメージかな?

――では、今シーズンのカタログを想定して何か一曲選んでもらえますか?

近藤 そうですね、ザ・スタイル・カウンシルの『The Paris Match』を選んでみました。スタイル・カウンシルは父親が聴いていたんですけど、子供だった自分にはオシャレ過ぎて始めは受け入れられなかったんですよ。でも、高校生くらいでそのカッコ良さがわかるようになって。彼らはそれまでのUKロックのイメージを変えた実験的なバンドで、モダンでちょっとクールな雰囲気に王道のUKロックが持つ強さがミックスされたような感じがしました。そこに、ポール・ウェラーらしい都会的なセンスが加わっていて。鮮烈な印象は今でも全く色褪せないですね。

――そのなかでも『The Paris Match』を選んだのは?

近藤 スタイル・カウンシルの曲の中でもこれは特別な曲でVo.のポールウェラーではなく、Everything But The Girlのトレイシー・ソーンという女性が歌っているんです。彼女の声は独特の魅力あってがとてもいいんですよね。私にとってこの曲は、ヨーロッパの街角やノスタルジックな部屋を連想させてくれる、“絵が浮かぶ”曲なんです。カタログの中でトレンチコートを羽織って街に佇むシーンや、電話ボックスの前で誰かを待っている感じとか、部屋でリラックスしている雰囲気にも、時間の流れはスローだけどしっかりとした意思がある感じで、『The Paris Match』がすごく合うなと思いました。

――近藤さんはDJとしても活躍されていますが、どんな選曲をされることが多いですか?

近藤 親の影響でずっとロックを聴いて育ったので、小さなお店やライブハウスで回し始めたときは古いロックのレコードが多かったですね。今はクラブでプレイすることがほとんどなので、テクノやハウスなどのダンスミュージックがベースになっています。DJの現場に行くことで吸収できることは本当に多いんですよ。音だけじゃなく、いろんな人がいて人からインスパイアされることも大きい。SNSやネットでもたくさん情報が入ってきますけど、やっぱりリアルな場所の方が時代の空気感も含めて、ダイレクトに感じられるので刺激的ですね。ただ、今って時代的に何でも凄く細分化されている感じがするので、音楽とアートとか色んなカルチャーがもっとリンクしていったら面白いなと思っています。

――なるほど、それは感じますね。今日はありがとうございました。

近藤麻由

アートディレクター/DJ
フリーランスのアートディレクターとして、 主にファッションブランドやCDジャケットなどのヴィジュアル撮影のディレクション、 グラフィックデザインを手掛け、国内外に於いて活動している。 2010年より自身によるインディペンデント誌"RUBYPAPER"を発行し、 2012年10月29日に第3弾となるissue03を刊行した。 また、『PUNKADELIX』名義でDJとしての顔も持ち、 東京をベースに幅広いシーンに於いて音楽活動を続けている。 2012年3月にオフィシャル・ミックス「ELECTRONIK BEAT PUNK」をリリース。

http://www.thevoice.jp/home/mayu-kondo/
http://www.eyescream.jp/blog/author/mayu/

撮影協力

hikicafe

OPEN 11:30〜23:30
Food L.O. 22:30
Drink L.O. 23:00
東京都渋谷区宇多川町36-19 1F
www.hikicafe.jp