バイスプレジデント ジャスティン氏が語る  40周年を迎えたGHURKAの次なるビジョンとは? バイスプレジデント ジャスティン氏が語る  40周年を迎えたGHURKAの次なるビジョンとは?

バイスプレジデント ジャスティン氏が語る
40周年を迎えたGHURKAの次なるビジョンとは?

1975年にアメリカで誕生した鞄メーカー「GHURKA(グルカ)」は、 SHIPS同様今年で設立から40年という大きな節目を迎えた。9月には、これまで親交の深い両者のアイデアを凝縮したポップアップフェアをSHIPS銀座店にて開催。新旧のファンが駆けつけて大成功を収めた。その機会に合わせて来日したGHURKAのバイスプレジデントを務めるジャスティン氏に、今回の特別プロジェクトの全容と、GHURKAがこれから目指すという新たなビジョンについて語っていただいた。

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コラボで今回のように踏み込んだ物作りをしたのは初めてですね

??まずは今回SHIPSと一緒に開催したポップアップフェアについてお伺いしたいのですが。やはり互いに40周年ということが大きなポイントになっているのでしょうか?

「そうですね。アーカイブも含めて展示するという今回のようなポップアップストアは初めての試みです。最初はSHIPSからのアプローチがあったのですが、互いに40周年というちょうどよいタイミングでしたので、何か面白いことができればと意見を出し合いました。実は今年の春には、SHIPSのスタッフさんが長年使っていたGHURKAのヴィンテージの財布をアイデアソースにして、一足先に復刻の財布を作っているんですよ。その次なるステップとして今回は2型のバッグを復刻させました。もう生産されていないNo.6 の“ドジャー”とNo.93“サファリ”に加えて、定番のNo.5“エグザミナー”もオールネイビーのクロムエクセルレザーで仕上げたんです」

??春に作った財布は、スタッフが愛用していたものがモチーフというのはたまたまなんですか?

「そのとおりです。ずっとGHURKAが好きで愛用されていた方がいらっしゃったので、それだけ愛されるモデルであればと、二つ折りの古いデザインを復刻させたんです。その財布を収める箱には、特別にヴィンテージプリントを施したんですよ。SHIPSとの関係は長いですが、今回のように踏み込んだ物作りをしたのは初めてですね」

??なるほど、それは興味深いですね。それで今回のバッグですが、3型を選んだ理由はなんでしょうか?

「No.93の“サファリ”に関しては、カジュアルスタイルに使えるショルダーを入れたかったという理由からです。No.6の“ドジャー”も廃番のモデルですが、オンでもオフでも使えるデザインを復刻させたいというSHIPSの強いリクエストがありました。そこに定番で普遍的なNo.5の“エグザミナー”も加えたという感じです」

??出来栄えとしてはいかがでしょうか?

「もう作られていない“サファリ”も“ドジャー”も、今までにない高い完成度で仕上げられたと思いますよ。ちなみに春夏で復刻させた財布の箱に施したペイントは、誰もが知っているコロンビアピクチャーのロゴを描いたマイケル・J・ディアスが手掛けたものなんですよ」

??それはすごいですね。オリジナルはいつ頃描いた作品なんですか?

「GHURKAのために80年代の初頭に描いてくれたんです。多分1982年ぐらいですね。かなりスペシャルなことでした」

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ベストなバッグというのは、時代によって変わってくるものだと思います

??GHURKAも40周年ということですが、ブランド単体としても何かスペシャル企画はやっているんですか?

「そうですね。ダービーチェックコレクションというシリーズを復刻させましたね。さらに今年はグルカ兵がこの世に生まれて200年というアニバーサリーイヤーでもあるんですけど、それを記念してG200というコレクションも作っています。グルカ兵が着用していたジャケットの裏地にちなんで、赤のライニングのコレクションを発表しました」

??なるほど、そちらも興味深いですね。GHURKAのバッグといえばエレガントでいてタフというイメージですが、それは40年前も今も全く変わりませんか? 何かブランドとして新しく加わった理念みたいなものもあったりするんですか?

「もちろん基本理念は変わりませんが、来年からGテックというコットンの上にコーティングをした新しいファブリック仕様のバッグを発表する予定です。革とコットンの良さを追求した物作りは今後も続けていきますが、そういった新素材を使った新しい試みも広げていくつもりです」

??いわゆるテクニカル素材ということでしょうか?

「そうですね、今の時代に合ったものです。そういったテクニカルな素材を今後は幅広く使っていきたいという意識もあるんです。例えば旅行用のバッグに使われるカーボンファイバーなんかを積極的に取り入れたアプローチにもチャレンジしたいですね」

??とはいっても、クラシックなモデルは続けていくんですよね?

「もちろん。そういうテクニカルなものを作ったとしても、昔から愛されているモデルは、ブランドにとって最も大切なものです。それはずっと続けていきたいですね」

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??それは世界中のファンが望んでいることだと思います。愚問ですが、ブランドとして最も大切なモデルを挙げるとすると何になるのでしょうか?

「No.2の“エクスプレス”とNo.5の“エグザミナー”でしょうか。前者はトラベルを意識したもので、後者はビジネス用です。どちらも昔から使っているお客様から今も手紙をもらいますし、最高のバッグだと言われます。どちらも本当に使いやすいバッグだと思っています」

??そういった過去の名作は本当に素晴らしいですが、その完成度を超えるバッグを作ることはやはり難しいんでしょうか?

「昔と今のバッグを比べるというのはすごく難しいことですよね。中に入れるものも変わっていますし。昔はPCやプラグを入れる必要はなかったですから。
例えば今発売されている“エグザミナー”などは、モバイルが入れられるようにアップデートしています。バッグは時代とともに用途が少しずつ変わりますから、ベストなバッグというのは、その時代によって変わってくるものだと思います。なので、全く新しいバッグをその都度作るのではなく、ちょっとずつ仕様を変えるという努力をし続けていますよ」

??なるほど。先ほど言っていた機能素材もそういう流れから出てきた発想なんですね。

「そうです。Gテックという素材は非常に軽い素材ですが、それを使って今のニーズに合わせたバッグを作っていくつもりなんです」

??それは形でいうとどんなタイプのバッグになるのでしょうか? 

「今のところGテック仕様としては、トラベル用の大きなバッグを作る予定です。もし他のバッグを作るとしてもクラシックな形ではなく、今の時代に合ったモダンな形を追求すると思います」

??今回のSHIPSとのコラボは非常に画期的でしたが、また形を変えて何か他のプロジェクトをやる可能性はあるのでしょうか?

「そうですね。素材を変えて、軽くて使いやすいバッグを新たなコラボで作るという話はしています。今後もそういう今までにない便利なモデルを作ってみたいですね」

??GHURKAにとってSHIPSはやはり特別な存在なのでしょうか? 

「もちろん。SHIPSは日本で最も大切なパートナーの一つですし、今までこういったコラボをやったのも現状はSHIPSだけです。普通はホーウィン社の革を使ったり、オールネイビーで仕上げるというようなことは受け入れていないんですよ」

??今後、日本のマーケットを見据えて、何かやりたいことはありますか?

「SHIPSに足を運んでくださるお客様も含めて、日本でのGHURKAの愛用者は、素材や強度にこだわる方が多いんですね。そういう方々の貴重な意見を聞くことは自分たちにとってもすごく大切なことですし、それに応えていくべきだと思っています。もしかしたら、これから日本国内に事務所やお店を出すこともあるかもしれませんね」

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9月にSHIPS銀座店で開催されたGHURKAのポップアップフェア。これまでも親交の深いSHIPSとGHURKAが互いに40周年を迎えた記念として実現したこの企画。これまでの別注モデルと、No.6 の“ドジャー”、No.5“エグザミナー”、No.93“サファリ”の3型も加えた豪華なラインナップが揃った。SHIPSのコーポレートカラーであるオールネイビーに彩られた名作の数々が展示・販売された。

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こちらは今春に復刻したウォレットシリーズ。付属のボックスには1980年代に描かれたマイケル・J・ディアスのイラストがプリントされている。ヴィンテージを想起させる特別仕様だ。

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このポップアップフェア開催中にGHURKAの製品を購入した方には、肉厚なレザーを使用したキーホルダーがノベルティとして配られた。

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もう生産されていないモデルも含めて、このポップアップフェアではGHURKAのアーカイブも展示された。GHURKA製品には必ずナンバリングが施されるが、No.2の“エクスプレス”を筆頭に(No.1は欠番)、綺麗に保管されていたヴィンテージモデルも特別に公開された。