SHIPS MAG トレンド対談 SHIPS MAG トレンド対談

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SHIPS MEN

パンツ一筋60年。徹底的に男の下半身の美しさを追求し続け、いつの時代も“優れたパンツ”のベンチマークとして存在してきたブランド、INCOTEX(インコテックス)。メインラインであるドレスパンツの支持率の高さは言わずもがな、ここ最近、俄然その存在感が増しているのが、ワークやミリタリーをモチーフにしたライン、INCOTEX RED(インコテックスレッド)だ。そこでここではその魅力とアイテムの傾向を探るべく、スローウエアジャパンの鈴木さんとSHIPSバイヤーの秋山さんにインタビューを敢行。なぜ今INCOTEX REDなのか!? 春夏の人気は!? 秋冬の傾向は!? ざっくばらんに語ってもらった。


−いきなりですが、INCOTEX RED、凄い人気ですよね。

鈴木雄一朗(以下、鈴木)
2009年のデビュー当時から人気は高かったですが、2011年はとくに需要が高まりましたね。チノパンブームというのもありましたが、節電対応のためのクールビズ化も大きかったでしょうか。REDのチノパンに限らず、INCOTEXの通常ラインのチノパンも2012年はさらに人気が加速しています。

秋山智春(以下、秋山)
ショップスタッフにも言われたんですが、昨年はとにかく数が足りなかったですね。すぐ売り切れてしまって…。数そのものは決して少なくなかったのですが、人気が凄かった。今年は昨年の2.5倍、発注しています。

−その圧倒的な魅力はどこにあると思いますか?

鈴木 個人的には、チノパンの概念を大きく変えたのがINCOTEX REDなんじゃないかなと思っています。それまでチノパンと言えばやはりある種の野暮ったさが魅力でした。だけどINCOTEX REDは当初から、イタリアのフィルターを通したアメリカンカジュアルをいかに表現していくかということに注力していたんですね。いまでこそスリムフィットのチノパンって普通ですが、その先駆者なんじゃないかなと売る側としては自負があります。言わずもがな、クオリティも抜群ですから。

秋山 バイイングする側として思うのは“絶対的な安心感”ですね。チノパンもそうだしカーゴパンツもそう。カジュアルだけど品をしっかり残すその絶妙なさじ加減がいい。ドレスジャケットにもカジュアルにも合わせられるこのバランス感ってなかなかないですよね。鈴木さんがおっしゃる通り、ジャケットに合わせられるカジュアルパンツの流れはこのブランドが作ったんじゃないかなと僕も思います。

(左)コードレーン素材のスリムフィットカーゴパンツ。主張しすぎないペイント加工や、エッジに微妙にダメージを加えたヴィンテージ加工と、大人のマナーを守ったアレンジメントがさすが。 (右) INCOTEX REDのトップラインであるサルトリアーレラインのパンツ。玉虫色に光るソラーロという素材を使用。浅い2タック入りだがローライズというバランスがハイセンスだ。ホーンボタンを使うなど細部までこだわり抜いている。 (中) シャンブレーを使った春夏の新作。平織りの生地なので裏地も表地と同じ生地感。そのためロールアップではいても足元の印象はシック。そんなさじ加減もINCOTEXならでは。

パンツ(中) ?31','500、 パンツ(右) ?36','750/INCOTEX RED
左は参考商品

−ちなみにこの春夏は実際にどんなアイテムが売れたのでしょうか?

INCOTEX REDのアイコン的アイテムであるチノパン「603」。カジュアルパンツの領域を超えた丁寧な縫製、スリムフィットの美しいパターンなど、随所にサルトリアのディテールを落とし込んだ名作。

パンツ ?27','300/INCOTEX RED

鈴木 INCOTEX REDがスタートした当初からやっている定番のチノパン「603」。これはまさに不動の人気ですね。

秋山 これは本当に名作ですよね。ジャケットに合わせられるチノパンの代表格といった感じ。いやらしすぎない細さがいいんですよね。

鈴木 例えば肌に直接触れるウエスト部分のキルト仕様の裏地、腰裏のV字型のバックスリットなど、サルトリアルのディテールが随所に行かされています。徹底したクオリティですよね。あとはスリムフィットのカーゴパンツ(上写真左)です。これはコードレーン素材を使用して夏らしく仕上げています。カーゴパンツってどうしてもハードなイメージが残ってしまうのですが、これは色もサックスブルーで品がある。それと、本当に微妙なんですがちょっとペイントも飛ばしてあります。

秋山 SHIPSではこのペイント仕様のチノパン「603」モデルを展開しています。

鈴木 あとはコアなINCOTEXファン向けのサルトリアーレライン(上写真右)も注目されていますね。これはブランドの中でもトップラインのもの。素材や作り、デザインに徹底的にこだわっていて、よりファッション好きなファンに人気です。それと今回好評だったのが、ライトオンスのシャンブレーチノ(上写真中)。

秋山 カジュアルはもちろん、軽くジャケットを合わせてもいい。いわゆる5ポケットのジーンズにジャケットもいいけど、もう少し年齢が上の方にはこういうのがちょうどいいですよね。クリースが入っていないところもいい。

鈴木 最近、ロールアップが流行っていますが、デニムだとちょっとカジュアルに偏ってしまうんですよね。それが嫌って言う人もいる。でもこれは普通のジーンズと違って裏地も同じ色だからロールアップしてもクセがない。それがいいんですよ。シャンブレーだからデニムほど重たくないしね。

−今年の秋冬の傾向も教えてもらえますか。

鈴木 INCOTEX REDでいうと、昨年に引き続きベージュやグレージュ、さらにネイビーといった色みが主流ですね。あとはコーデュロイなどの素材が多く展開されています。

秋山 SHIPSとしては、この秋冬はウール系のものに注目しています。ウールでチノ型というか。来シーズンはチノパンに乗せられるチノクロス以外の素材が充実しているところが新しいと思うんですよね。それと起毛感のある素材もいいですね。コットンにしてもモールスキン調のものなんかいいんじゃないかと思います。

秋冬は昨年に引き続きグレー、グレージュ、ベージュトーンが人気。コーデュロイやウール素材のチノパンにも注目。

−INCOTEX REDではなくクラシックなINCOTEXのスラックスの方ではどうですか?

鈴木 INCOTEXのクラシックなラインでいうなら、ダブルのウインドウペーンや千鳥格子などのブリティッシュテイストを感じさせる柄が注目ですね。昨年もそうでしたが今年はよりその傾向が強くなっていると思います。ただしぱっと見で派手なものではなく、遠目には無地に見える控えめなものがいいかと。

秋山 全体の流れとしては去年と同じで、ウォーム感のある素材が中心。ツイード素材やドネガルっぽい素材がその代表です。

鈴木 それと今年はネイビーもオーダーが集中しましたね。これもパンツのトレンドになるんじゃないかな。

秋山 ネイビーもベタなネイビーじゃなくて、ちょっとメランジ調の、深い表情のあるネイビーがいいですよね。洗いがかかっていて色があせていたりとか。

鈴木 そうそう。ただ、トレンドも大事ですが、ぶれないオーセンティックさがあるのもINCOTEXの魅力です。シーズンをまたいでも古くならない本質的なクオリティが、これだけ多くの人から支持を集めている理由のひとつ。あとね、ドレスシューズもスニーカーも、サンダルも合わせられる。こんなパンツほかにないと思いますよ。

(手前)ブリティッシュスタイルを彷彿させるチェック柄のパンツは今季の注目作。(中央)ツイーディな紡毛系の素材も要チェックだ。(奥)にわかに脚光を浴びつつあるネイビー。単調なものではなく、メランジ調やウォッシュ加工などの風合いのあるものを選ぶのが旬。