村上氏、至福のオーダースーツ 村上氏、至福のオーダースーツ

村上氏、至福のオーダースーツ

CICATA SHIPS JET BLUE

村上氏、至福のオーダースーツ

SHIPS MEN

SHIPS MAGでVol.1からご登場いただいているスタイリストの村上忠正氏にパターンオーダー専門のシップス テーラリングハウスで、自分好みのスーツを自由にオーダーしてもらった。スタイリストを極めた村上氏ならではのこだわりが全面に打ち出された至福のオーダースーツ。そのスーツを実際に着てもらい魅力を存分に語ってもらった。


オーダスーツの醍醐味は自分の体に合わすというところがポイントですが、それ以上に既製服には無い物が作れるというのがすごい魅力だと思うんです。日本国内ではスーツが既製服として売られている歴史はまだ浅いと思います。戦後からスーツは“オーダーの仕立て”という風潮が多々あって、そのころから比べると日本ではここ近年既製服の需要が高まり、そういう意味ではスーツの面白みが無くなってきたと思うんですよね。今回オーダーするにあたり「この年代のあのディテールが良かったなとか、昭和の時代のあの人達、格好良かったな」と思い浮かべながら、オーダーしてみました。自分なりのアイデアを実際に形に出来るというのがオーダースーツの魅力ですね。勿論、自分の体に合うというのは当然なんですけど、ディテールや素材にちょっとした遊び心が入れられるというところが面白い所でもありますよね。

-- 今回パターンオーダーをして頂いた際にどういったシチュエーションを考えられてオーダーされたのですか?

僕は会社員ではないのでドレスコードみたいなものは一切ありません。普段撮影で使用する商品のリースや実際の撮影現場でも着れる様なスーツというのを考えてオーダーさせてもらいました。フォーマルなスーツではなく、ジャケット、パンツの単品使いが出来る利便性の高さを考え生地や仕様をと思い、素材は長時間着ていてもシワになりにくいもの、ヨレが出にくいもの、張りのあるものを最重視しました。それと生地の色も重要かと・・・最初は旬なキャメル色を考えていましたが、少しカジュアル感を楽しんだ方がいいかなと思いこの色にしました。

各ディテールや数あるオプションを自分好みで生地や形に合わせて選べるのもパターンオーダーの魅力ですね。細かいところまでこだわりたいですしね。ここはオーダーならではだと、思ったのが、通常袖の仕様を本切羽にすると別途で料金が掛かるのですが、オーダーでは無料オプションとしてセレクトできるんです。
それからショルダーですが昨今のトレンドであるアンコン仕立てや、薄手のパッドや芯地を使用するのですが、今回このダブルブレストでややクラシックな印象なので、あえて70年代のそれこそサンローランみたいなやや厚手のパッドを入れてもらいました。僕は構築的なショルダーの方が好みなので。

そして今回オーダーするにあたり普段着使いも出来るというテーマがあったのでポケットに関してはパッチポケットに変更してもらい、着丈も7〜8cm短くしました。既製品の直しだと着丈をいじった際にボタンの位置までは返られないのでバランスが難しいですが、そこはやはりパターンオーダー。それに伴いボタン位置も自然に調整してもらいすっきりとしたおさまりになっています。ボタンも厚みのあるクラシックなタイプを選んでみました。パンツに関しては元来のオーダースーツにならってベルトループを外してもらい個人的にはリッチな気分になって気に入っています。シルエットはもっと軽快に着たいというのがあって裾幅は18cmに変更してもらいました。

裾は思い切ってダブル幅5cmに。こういうスーツだと足元が華奢な靴よりも多少ボリュームがある方がデコラティブでいいのかなと。後ろのベントはこの形でいけば本来サイドベントですが、少しアメリカの匂いがするのがいいかなと思ってセンターベントにしてもらいました。裏地はシャンパンゴールドをハンドステッチで付けてもらっていてとても美しい仕上がりです。昨今のイタリアスーツみたいなすごくタイトなスーツって恰好いいですが、逆にこういったクラシックモダンをイメージしたシルエットが気分でした。ちなみにジャケットとパンツを単品でコーディネートするなら、ジャケットにはリーバイスのジーンズ、パンツにはダウンベストとかガウンを合わせて着てみようと思っていて、どちらもカジュアルダウンしたコーディネートが楽しめます。

今回、シップスでパターンオーダーを初めて利用させて頂いきましたが、僕は普段来店されるお客様と比べてもあり得ないくらい無理な注文をしてしまいました(笑)。
それをシップスなりにディテールやバランス感を上手く調節してもらった、すごく貴重な一着だと思います。
僕もこのクオリティの高さに正直驚いています。本当にいい経験をありがとうございました。

村上 忠正

1969年生まれ。東京都出身。
鈴木卓爾氏より独立後、現在はフリースタイリストとして活躍中。メンズ人気雑誌「MENS CLUB」や「MENS EX」、「LEON」などをはじめ、広告やカタログなど幅広い媒体を手掛けています。ドレスからカジュアルまで大人の着こなしに定評があり、その豊富な知識や経験で多くの支持を集める。