ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI” ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”

ドメスティックブランドに魅せられて
新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”

着て動いたときのシルエットの美しさを追求し、長く愛用できる服が揃うブランド“QUWAGI”(クワギ)。2017年スタートの若手ブランドにも関わらず、数多くのセレクトショップでの取り扱いやポップアップストアを展開するなど、今、最も注目度の高いブランドです。立体的なフォルムへのこだわりやQUWAGIの魅力について、デザイナーである纐リ亜希子さんにお話をお伺いしました。

ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”

“時を重ねても輝き続け、
人それぞれのヴィンテージに寄り添う洋服でありたい”

BRAND CONCEPT
2018SSシーズンよりスタートしたブランド。女性らしい「揺れる」フォルムを大切にし、
動いたときの立体感や日本人ならではのエレガンスを追求。
QUWAGIで展開される洋服には、「QUWAGI」の服に出会ってくれた女性たちが、
素敵な瞬間をたくさん生んで、いつの日か、その方のヴィンテージになりますように。という思いが込められている。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”

手放される洋服ではなく
また着たいと思える
服になってほしい

ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――纐リさんの経歴を教えてください。
4年制の服飾専門学校のデザイン学科を卒業後、ミセスの老舗ハイブランドのコート事業部でアシスタントに就きました。そこには7年ほど在籍していたのですが、服づくりの段階を1から丁寧に学んだり、普段は触れない素敵な生地も早い段階から手に覚えさせてもらいました。その頃の経験が自分の中のベースになっていると思っています。その後、セレクトショップのオリジナル商品作りに8年ほど携わらせていただきました。
――ブランド立ち上げのきっかけを教えてください。
過去を振り返ってみた時、専門学生の頃にブランドを持ちたいという夢を持っていたなとか、そこに一度くらいチャレンジしてもいいのではと思ったんです。デザイナーという仕事は一生続けていきたいので、ひとりでも無理のない範囲で長く続けられるようにQUWAGIを立ち上げました。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――1社目を合わせると経験を積む期間が長かったんですね。
独立するタイミングとしては少し遅いのかもしれませんが、その分、良い経験を積ませていただけたと思います。1社目に就職したとき、立体裁断を詳しく学びたいと思い夜間の学校にも通っていたんです。その頃に学んできたこと、企業デザイナーとして経験したことをブランドに反映できたらと思います。
――働きながら通うのは体力がいりますよね。
若かったからこそですね(笑)。でもその経験があったからこそ、今のQUWAGIがあるのかなと思います。

デザイナーという仕事を
無理のない範囲で
長く続けていきたい

ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――QUWAGIというブランド名に込めた思いを教えてください。
いい意味で意味を持たせないものにしたいと考えていたので、シンプルに自分の名前を使うことにしたんです。ブランドロゴはアートディレクターの田沼広子さんにデザインしていただいたのですが、「KUWAGI」よりも「QUWAGI」の方が柔らかな印象だと助言をいただいたんです。なので、Qの部分も柔らかいイメージが伝わるようにカーブをつけてもらっています。
――QUWAGIのコンセプトについて教えてください。
2つの大きな軸がありまして、ひとつは強さと美しさの同居です。服は着て動くことで初めてシルエットが意味をなすと思うんですね。なので、どの角度を見ても素敵だなと思える立体的なフォルムを大切にしています。もうひとつは、セルフヴィンテージ。歳を重ねていくと、クローゼットの中に10代から着続けているものが増えていって、気づくとそこに自分だけのヴィンテージが存在するんです。毎日着るわけではないけれど、何年か後にまた着たいと思えるような、そういった服になってくれたらと思いながら作っています。
――若いときに購入した服が年齢を重ねてやっと自分に追いつくというか、あの頃よりも似合うようになったと感じるときってありますもんね。
そうなんです! 10代の頃は少し背伸びをしてハイブランドや、モードなブランドを買ったりして。そのときも自分に似合うコーデを考えたりするので楽しいのですが、不思議と歳をとってから着た方がしっくりくることがあるんですよね。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――QUWAGIのお洋服は、ゆとりがありながらも女性らしいラインが出るようなシルエットが多いように思います。そこはやはりセルフヴィンテージを意識しているからなのでしょうか。
メインターゲットとなる年齢層を明確に定めていないので、10〜20代の若い世代はもちろん、50〜60代の方にも着ていただけるようにデザインしています。ふとしたときに、若いときに着ていたあの服をまた着てみようかなって思ってもらえるのが理想です。
――色味も優しく、年配の方も手に取りやすい感じがします。
私自身、昔からアースカラーが好きなんです。そのせいか全体的に彩度の落ち着いたカラーが多いのかもしれません。
――好んで使っている色はありますか?
ベージュを含むブラウン系は幅広く使います。2019FWでは、赤みの強いブラウンとグレイッシュなベージュの2色を軸にコレクションを広げていきました。でも、カラバリには必ずと言っていいほどブラウンが入ってしまうんです(笑)。
――ブラウンはブランドのテーマカラーですね。
自分では意識していなかったのですが、自然とブランドのテーマカラーができていたみたいです。

やったことないから
やってみよう!って
職人さんたちと
盛り上がれるのも
楽しみのひとつ

ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――ものづくりに関して、影響を受けた人はいますか?
生地作りや縫製をしている現場で影響を受けることが多いです。職人さんに自分が作りたいお洋服のイメージをお話すると「難しいかもしれないけど、やってみようか」って言ってもらえて。そこで仲間意識を感じる部分があったりもするんですよね。
――QUWAGIのお洋服をつくるチームが自然と出来上がっているんですね。
イメージに近づくまで試行錯誤していくので、しんどい部分ではあるのですが、完成したときに同じ気持ちで喜べる人がいるというのが一番いいですよね。同じ目線で、同じ目標を持ちながら作ることで、作り手の思いが詰まったお洋服が出来上がると思っています。
――カタログ撮影は毎回ニューヨークで行っているそうですね。
ニューヨークで活動されている更井真理さんというフォトグラファーさんと、現地スタッフの方々と一緒に撮影しています。
――動きのある写真で、立体的なフォルムがうまく表現されていますよね。
実は、彼女の動きのある写真に心を打たれて直談判したんですよ。私のニューヨークにいる友人が真理さんと繋がっていて、そこからもアプローチをしてくれて。ブランドロゴを担当していただいた田沼さんも真理さんとはお付き合いがあったみたいで、もう、これは運命だと思ったんです。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――人に恵まれているというか、纐リさんのものづくりに対する思いに心が動かされるのかもしれないですね。
みなさんそうかもしれないのですが、人に恵まれているなと感じることはありますね。本当にありがたいです。
――いままで製作したお洋服のなかで、思い入れがあるものを教えてください。
コート系は思い入れのあるものが多いのですが、なかでも2018FWに発表したコートが気に入っています。QUWAGIではメンズラインを設けていないのですが、メンズの方もオーダーしてくれたので別注をさせていただいたり。女性だけでなく、男性にも受け入れてもらえたというのは嬉しかったです。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
――今後メンズラインを展開する予定はありますか?
メンズの服は個人的に好きで着たりするので、前々からメンズラインをやりたいなとは思っているんです。いまは準備期間ですね。
――最後に、今後の目標を教えてください。
細々とでも構わないので、長く愛されるブランドになりたいなと願っています。国内でも地方のセレクトショップに置いていただけたり、少しずつ広まってきているのを感じています。なので、今後は海外も視野に入れて頑張っていきたいと思います。
ドメスティックブランドに魅せられて。新進気鋭の日本発ブランド“QUWAGI”
纐リ亜希子(くわぎ・あきこ)
服飾専門学校にてファッションデザイン科を卒業後、アミコファッションズにて立体裁断を学びながらアパレルに就職。2017年、2018SSシーズンからQUWAGIをスタート。