アメリカ発、話題の気鋭ブランドに迫る。CHAPTER アメリカ発、話題の気鋭ブランドに迫る。CHAPTER

アメリカ発、話題の気鋭ブランドに迫る。CHAPTER

モノトーンを基調にしたカラーパレット、無駄を削ぎ落としたデザインと着心地のよい素材感。カリフォルニアで生まれたCHAPTER〈チャプター〉は、そんな特徴を持ったカッティングエッジなブランドだ。とはいえ、今季から日本での展開も本格化していながら、その実態はまだまだ謎に包まれている。ゆえにいち早く入手した最新ルックと、クリエイティブディレクター、デヴィンへのショートインタビューでブランドの神髄に迫った。アメリカブランドらしからぬ繊細さとヨーロッパモードのそれとは異なるリラックス感は独自性に溢れているが、世界のファッショニスタから注目される本当のワケとはどこにあるのだろうか?

2013年、アメリカのカリフォルニア州コスタメサで現クリエイティブディレクター、デヴィン・カールソンを中心に設立。世界の建築や多様なファッション、及びアートに影響を受けたという同氏のデザインは、モノトーンかつミニマルな表情が基本。コットンやリネンといったあくまで定番の素材を使用し、究極の心地よさを追求しつつ、ボリュームやシルエットバランスでユニークなスタイルを打ち出している。満を持して2015年春夏コレクションより、日本での本格展開を開始。

ーーどんなインスピレーションと経緯でCHAPTERをスタートさせたのでしょうか?
「CHAPTERはシンプルでいてモダン、そして機能的な服であるということが根底にあります。そしてそんな洋服に自分たちのアートに対するパッションを融合させていくべく始めたプロジェクトです。ただの衣服ではなく、表現と機能性を感じる事ができる製品を作り出すことを目指しています」
ーーブランドの哲学、スピリッツとして最も大切にしていることを端的に教えてください。
「私たちが大切にしていることは、物事の大小に関わらず自分たちの思想をプロセスの中に取り込んで行くことです。CHAPTERという洋服も自分たちの思想を最大限に表現するもので、そういった活動こそが人々や自分たちを進化させ最終的に成功へと突き動かすものだと考えています」
ーーそのあたりをもう少し端的に形容するとどんなブランドであると思いますか?
「デザインやディテールに対して真摯に向き合い、機能性に関してコンセプチュアルなアプローチをするブランドであると思います」
ーーなるほど。特徴として感じるのがモノトーンが基本のルックですが、そこにこだわりや意味付けはあるのでしょうか?
「自分たちは、モノトーンのカラーパレットが持つ厳粛さと安心感に常に興味を抱いています。それゆえに服作りにおいては、そういったアプローチがベースになっていますね」
ーー加えて、着心地の良い素材、プロポーションも印象的なのですが、春夏で特に重要視したポイントは、やはりそのあたりにあるのでしょうか?
「今シーズンのラインで目指した特徴的なシルエットは、自分たちにとっても重要な意味を持っています。特徴的なダークトーンを軸としたコレクションの中には、通気性などの快適さも取り入れています。そんなアプローチは今後も継続していきたいと思っていますよ」
ーーそうなんですね。それでは、素材、加工、縫製、プロポーションといった服作りのテクニックにおいて、重きを置いていることとはどんなことでしょうか? 
「まず高品質の材料を使う事はとても重要です。優れたデザインでも採用する生地の品質が伴っていなければ駄目ですし、生地の特性を理解した上でシルエットを作らなくてはなりません。デザイン性を最大限に引き出すためには、良い素材を使用しその特性を理解する必要があります。例えば、どんなファブリックにどんなステッチを施せばどんな表情が生まれるか、そういうことを熟知することでも服の完成度は上がります。かつ、それは同時に着る人にも伝わると思っています」
ーー自身のインスピレーションの源、服作りに最も影響を与えたものとはどんなことですか?
「私たちは、あらゆる物からインスピレーションを受けています。それは建築、ファインアート、ストリートカルチャー等ですが、そのすべてが意識的または潜在的に影響を及ぼしていると思います。CHAPTERを始めた頃は、ゆったりしたアンコンストラクションな洋服でありながら洗練されたテイラードを目指しました。当時はフリースやジャージー素材を使用した服が全盛で、私たちはそれらの素材感でありながら、デザイン、建築、ビジュアルアート等の要素を取り入れることを試みてきたんです。今現在もそういったことを続けることで、新しいハイレベルなデザイン基準と、それを消費者に届けるという新しいムーヴメントを作りたいと常々思っているんです」
ーー話は少し変わりますが、現在のアメリカのファッションシーンで、ユニークだと思うのはどんなところでしょうか? 具体的な人物やブランド、街やお店があれば理由も含めて教えてください。
「今のアメリカのストリートカルチャーは、世界中のマーケットで起こっている事を先導していると思います。なかでも興味深いのは、アメリカのポップカルチャーマーケットに存在する幅広いコンテポラリーファッションですし、その流行の変化の速度だと思います。ソーシャルメディアの発達により、消費者は自分たちのライフスタイルに合った情報を目まぐるしい早さで取り込む事ができるようになりました」
ーーなるほど。では世界ではどうでしょうか? 最もエキサイティングだと思う都市、シーン、街や場所、音楽やデザイナー、お店などがあればその理由も含めて教えてください。
「多くの場所を訪れましたが、なかでもコンテポラリーファッションマーケットの変化を著しく感じたのは香港と中国です。新興ミドルクラスの人々は、自らの定義をファッションで表現していますし、それを彼らは他の都市と繋がりながら常に進化しています。でも最も感銘を受けたのは東京です。お店にしても、ありとあらゆるところにまで気を使う姿勢には本当に感激しました。加えてパリも同様です。この2都市は、私の昨年訪れた場所で最も注目した場所ですね。パリはうっとりする程に素晴らしい光景、東京にはサイファイ感のある映画やファッション、そして建築があります」
ーーこれからそんな東京での展開が本格化しますが、東京自体に対してはそもそもどんなイメージを持っていましたか? 
「日本のマーケットで自分たちのブランドが展開されていくことにとても興奮しています。日本には私たちの周りにはない偉大で高貴な文化があると思っています。それは私が東京で見たハイエンドなリテール、念入りに掃除されたタクシー、レストラン等からも改めて感じることができました。生活の中に取り込まれているあらゆるキメ細かい気配りも素晴らしい。大都市に居ながらも感じることができる安らかさ、それと同時に他の大都市が放つような混沌としていながらどこかリズミカルで規則的な音があるとも思いました」
ーーそんな東京での展開も含めて、今後のブランドとしてのビジョンを可能な範囲でお聞かせください。
「自分たちの枠を超えないように、かつ理想に忠実でいる事です。そして、ビジネスだけに囚われずにディレクションをしていくことですね」
ーー最後に、洋服作りに限らずクリエイターとしてトライしたいものなどがあれば教えてください。
「多くの時間をスケッチや写真、そしてアートインスタレーションのアイデアを探すことに費やしていきたいですね。興味を持つことに対して調べたり試したりすることは、結局はブランドや洋服を作る要素と密接に関わってくるからです」

アセテート、ポリエステル、キュプラを混紡したさらりとした肌触りのシャツ。ゆったりとした身幅にドロップショルダーというリラックス感のあるプロポーションゆえ、オールブラックでも清涼感満点に着こなせる。それでいて小さなカラーがスタイリッシュだ。

シャツ ¥24,000(+TAX)/CHAPTER

こちらもビッグシルエットで仕上げたカットソー。ミニマルでありながら、ドロップショルダーや切り替えを設けたバックヨークなどユニークなデザイン性がさり気なく盛り込まれている。リネンとレーヨンを混紡したボディは滑らかな肌触りで、真夏でも心地よい。

カットソー ¥26,000(+TAX)/CHAPTER

身幅はゆったり、それでいてスリーブはコンパクトという興味深いバランスで仕上げたショートスリーブシャツ。透け感のある薄手のボディは、リラックスムードを醸すべくタックアウトで着るのが好ましい。袖口にはポイントでボタンが配されている。

シャツ ¥18,000(+TAX)/CHAPTER

フロントに凹凸のある立体的な装飾を施したビッグシルエットのカットソー。 裾にはドローコードを配しているため、ウエストを絞ってドレープを楽しむことも可能だ。脇の下にはベンチレーションを装備することで通気性の良さもしっかりと確保している。

カットソー ¥21,000(+TAX)/CHAPTER

伸縮性のある裏地が裾からちらりと覗くレイヤード構造のショーツ。1タックのゆったりとしたシルエットに、ベルトループなどをアシンメトリーに配したユニークな表情がポイントになっている。股上を深く採った独特な意匠は、装いにリラックス感をもたらす。

パンツ ¥24,000(+TAX)/CHAPTER

ビッグシルエットの半袖カットソーと共地で仕上げたリブパンツ。ハリがありつつも通気性もよい素材ゆえ、軽やかかつ涼しげに穿けるというのが最大の魅力。極太シルエットは自然なドレープが生まれるため、抜け感のあるイマドキな装いが楽しめる。

パンツ ¥26,000(+TAX)/CHAPTER