SHIPS WOMEN
JOURNAL


シワも、美しさとして捉える
大胆なフリルやレイヤード、クラフトとモードを行き来するようなバランス。それでいて、どこか自然体で、気負いがない。crinkle crinkle crinkleの服には、好きをそのまま着るような高揚感があります。ブランド名の由来にもなっている“クリンクル”とは、ナチュラルなしわ感を生み出す加工技法のこと。「たとえしわになったとしても、それさえ愛おしいものと思ってほしい」デザイナー・金原広和さんの言葉からは、装うことに対する真摯な気持ちが伝わります。
SHIPSではブランドのファーストシーズンから取り扱いをスタート。今回は別注アイテムの発売を記念して、ブランドの成り立ちや服作りへの思い、そしてSHIPSとの取り組みについて話を伺いました。
Updated 2026.05.27
2023年春夏シーズンよりスタート。天然素材を用いたやわらかな風合いや、空気を含んだような軽やかさを大切にしながら、自分らしく自由にまとえる服を提案しています。デザイン性の高いアイテムでありながら、日常の中で気負わず楽しめるバランスも魅力。装う人の気分や個性に寄り添う、愛情のあるものづくりを続けています。

均一ではないことの愛おしさ
ブランドを立ち上げた当時、ナチュラルな服がすごく流行っていたんです。インドのドレスをしわ加工して、そのしわを楽しむみたいなムーブメントがあって。一方で、その頃OEMの生地の仕事もしていて、“しわになりません”みたいな機能素材もたくさん見ていたんです。もちろんそれも素晴らしいことなんですけど、その中で、しわって本当に悪いものなのかなっていう違和感もどこかにあって。人間も年を重ねることで変化していくじゃないですか。経年変化で現れるものって、意外と美しいなって思うんです。隠したり、伸ばしたりするんじゃなくて、もっとありのままを楽しんでいいんじゃないかなって。特に僕は生地の仕事もしていたので、余計にそう思うのかもしれません。約束したものをちゃんと作るっていう丁寧さは大事なんですけど、それでも人の手で作る以上、少しずつズレたり、ブレたりするんですよね。僕、全部同じ丸って絶対ないと思っていて。完璧に整いすぎていないものとか、少し揺らぎがあるものに、その人らしさや、美しさや愛おしさを感じるんです。


違和感から生まれるスタイル
それだからか、ちょっと違和感があるものって気になるんです。“なんか可愛い”とか、“なんか引っかかる”みたいな。とても感覚的だけど、それって実はすごく大事だと思っていて。僕が作るものは、もちろん全部の人に理解されるわけじゃないし、大量に売れるものではないかもしれない。でも、熱量がちゃんとあるものを作りたいっていう気持ちはずっとあります。どうしても薄めていくと、全部同じ感じになっちゃう気がして。みんなと分かり合えるものじゃなくても、“これが好き”っていうパワーで繋がれることって、すごく素敵だなって思うんです。
ポップアップでお客さまと直接お話しする機会があって、どちらにするか迷ってらっしゃる時は、“どっちが気分上がりますか?”って聞くようにしています。もちろん実用性やTPOも大事なんですけど、最後は、“今日これ着たらちょっといい気分で過ごせそう”って思える服を選んでほしい。僕としては、電車に乗るのを躊躇するくらいのスタイリングがちょうどいいと思っています(笑)。やっぱり服って気分が上がるものが一番いい。crinkleを着れば、その日すこし元気でいられるとか、ハッピーな気分でいられるブランドでありたいとずっと思っています。

crinkleらしいトラッドとは
SHIPSさんって、僕の中ではすごくトラッドなイメージ。だから今回の別注アイテムは、プレッピーなムードを少し意識しました。3D刺繍のパンツは、前回すごく好評だった形をベースにしているんですけど、パターンを引き直して、少しワイドなシルエットにしています。crinkleって、デザインが強いイメージを持たれることも多いんですけど、日常で自然に穿けるものもすごく大事にしていて。シンプルなんだけど、素材の表情とか、シルエットでちゃんと違和感がある仕上がりになっています。


キャミソール型のトップスは、ポロシャツを胸に巻いたらどうなるんだろうと思って、かなり大きいポロを一回ジョキジョキ切って、ボディに貼り付けてサンプルを作ったんです。もちろん、こんな大きな襟の服なんて存在しないんですけど、そのアンバランスさがいいなって。最初はもっとギミックが強かったんです。でも、“もう少しSHIPSさんらしく削ぎ落としてもいいかもしれない”って調整していって。結果的にすごくいいバランスになったと思います。実はインラインでは、かなり深く開いたポロシャツも作っていて。そこに今回の別注のキャミソールをレイヤードすると、“ここにもポロシャツいるのに、ここにもポロシャツ?”みたいな感覚で着られるのでおもしろいと思います。(笑)シンプルにTシャツやキャミソールに合わせたり、シャツやブラウスを重ねてもいい。自由に楽しんでもらえたらうれしいですね。

世の中は、AIの開発で便利になる一方、生身のコミュニケーションみたいなものが少なくなってる気がしていて。でもその反動なのか、ライブだったり、実際に現場へ行くことだったり、そういう体感とか経験をみんなが求めてる気もするんです。だからこれからは、crinkleを通して、コミュニケーションが生まれる場所を作れたらいいなって思っていて。お洋服だけじゃなくて、僕のキャラクターも含めて、世界観ごと楽しんでもらえたらいいなと考えています。