
「どんなジャケットをどんなシャツタイと合わせるか……といったことを思案する以前に、“場所と服装”のマッチングを考えることが大切だと思っています。渋谷店の前は銀座店や有楽町店で勤務していたこともあり、そのときはもう少しドレッシーな装いをすることが多かったのですが、今は自然に服装のムードが変わりました。タイドアップするときもカチッとしすぎないほうがしっくりきますね。今日は柔らかなフランネルタイで少しだけ力を抜いてみました。それから、自分が好きな多国籍ミックススタイルも渋谷の街と相性がいいと思います。今日のコーディネートでいうと、ブレザーにグレースラックス、ドレスゴードン柄のシャツと一見アメトラ風ですが、イタリアやイギリスの要素も混ぜてみました。パンツをワイドな2インプリーツにして変化をつけたり、チーフをバスケット織りのものにしてみたりと、細かい部分にちょっとしたヒネリを効かせています」

「これはシップスの文化でもあると思うのですが、正統派のトラッドスタイルにあえて骨太なヴィンテージやネイティブアクセサリーを合わせるのが好きですね。ただし、すぐにそれとわかるようなミックススタイルではなく、“一見普通”な印象になるよう意識しています。見る人が見ると、ちょっとだけ違和感がある。それくらいのバランスが自分にはちょうどいいかなと。今日はナバホ族のシルバーアーティスト、ダリル・ディーン・ビゲイが手がけたネイティブアクセサリーと、1950年代にオメガが製作したブロードアロー(英国軍御用達を示す矢印形のマーク)つきのミリタリーウォッチをコーディネートしました。アメトラ、ネイティブ、ミリタリーとまるでルーツの異なるアイテムですが、トータルで見ればまとまっているのではないかと思います」

「ネイビーブレザーにグレースラックスとくれば、足元はやはりローファー。ラストがすらりと細いオールデンのタッセルローファーは、ワイドパンツとも相性がいいですね。ソックスはパープルを選んで、バーガンディの靴からミディアムグレーのパンツへとグラデーション状につながるようにコーディネートしました。ちなみに、言われないとまず気づかないと思いますが……先ほどお話ししたオメガの時計につけているNATOストラップは、靴と同じコードバン製。しかも#8という同じバーガンディ色で統一しています。革小物の素材リンクはあからさまに揃えるとかえって野暮にもなりかねないので、本当にさりげなく合わせてみました。こういう細部にこだわれるのがクラシックの醍醐味ですよね。でもそれを声高には主張せず、素知らぬ顔で過ごすのがクールなのではと。クラシック好きならこの気持ち、わかりますよね(笑)」

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